2005年に「食育基本法」が制定されて以来「食育」に対して関心が高まっています。 しっかり「食べる」ためには歯やお口の健康が不可欠です。歯科界も定期検診やフッ化物塗布などの虫歯予防だけでなく、ライフステージごとに「食べ方」を支援することで「食育」に積極的に関わっていこうという考えになってきています。私が重要でかつ取り組みやすいと思った乳幼児期における「食べ方」は以下の3点です。
- 1.上唇を使って(スプーンやコップで)水が飲めるようにする
- 2.手づかみ食べをしっかりさせる
- 3.足をつけた状態で食べさせる
1.上唇をつかい水が飲める
私達は日ごろ何気なくコップを使い水を飲んでいるのですが、上唇が水面に触れることで口に入る量を調節し、コップの傾け具合も調節しています。 哺乳瓶からすぐにマグマグやストローを使って水分摂取させると上唇を上手に使えないまま大きくなってしまいます。 外出先などではストローは便利な道具ですが、コップで上手に飲めるようになってから与えた方がいいようです。
無意識にしていますが、ペットボトルの水を飲むときも上唇の感覚を手の筋肉に伝えて、傾け具合を調節しています。
哺乳瓶からいきなりコップは無理なのでまずはスプーンでスタートしましょう。一口で飲む量を調節でき、連続して飲むことができるようになったらコップにチャレンジ!この場合も上唇が水面に触れていることを確認しながらコップを傾けていきます。あまり難しく考えず、ストロー飲みよりコップ飲みから、と育児の中で覚えておいていただけたらと思います。
2.手づかみ食べをしっかり
床やテーブルや衣類を汚したくない気持ちから、また我が子にきれいに食べてもらいたい気持ちからつい食べ物を小さくカットして与えてしまいがちです。将来喉に食べ物を詰まらせたりしない為に自分の一口量を認識することは非常に大切なことなのですが、それは手づかみ食べで食べ物を前歯でかじりとることで獲得できる能力だと言われています。離乳食の後期あたりからバナナや卵焼きなどをスティック状にしてかじりとれるように工夫してあげるといいでしょう。完了期になるとおにぎりなども食べられるようになりますが、あえて一口おにぎりにしないことがお子さんの機能発達につながります。(片づけは大変ですが..)根菜類も少し大き目にカットしてあげてください。最初はスティック状から始めるとかじりとりやすいです。
3.足をつけた状態で食べさせる
手づかみ食べができるようになって、スプーンやフォークを使いはじめるころから気をつけてあげてください。自分で食具を使うためには上体の姿勢を安定させることが大切です。
また食べ物を奥歯でしっかり噛むためには足がぶらぶら状態よりも足底がしっかり床についた状態のほうが望ましいので、食事をするスタイルも大事になってきます。